僕はこの十年以上、大概は複数の恋人がいて、それを隠したりもせずに生きて来た。
それは浮気性の火遊びというよりは、むしろ安定した複数の関係が僕には必要で、それをある恋人は
「いっちゃんの愛情を貯めるバケツは他の人のものより大きいから、一人からの愛情ではいっぱいにならないんだよ」
と表現してくれた。
僕はだから、そうした僕の性質を理解してくれる人を恋人に選んで来たつもり。
まりこちゃんは、
「他の人が来る時は私は実家に帰るから、一緒に暮らしたい」
と言って僕と一緒に住み始め、
「私はいっちゃんのことが好きだからいっちゃんといるだけだから、いっちゃんが他の誰かと付き合っててもいいの」
とハッキリと言ったりして、僕はそんなまりこちゃんをとても頼もしく思っていた。
けれども、この頃、まりこちゃんは他の人が家に来るのをとても嫌がるようになった。
「他の誰にもいっちゃんに触れさせたくない」
と言った。
僕はまりこちゃんとの二人だけの生活に、孤独や退屈を感じるようになった。
僕らは段々と仲が悪くなり、不機嫌な顔で過ごす時間が多くなった。
このままではダメになってしまうと思った僕は、
「フリーポコの日」
の制定を提案した。
週末、まりこちゃんは実家に帰り、僕は家で他の誰かと過ごしてもいいという制度だ。
さて、うまくいくだろうか?