僕の部屋が失くなった日
2017年4月16日
レトロな照明器具でなかなか素敵
実家に住んでいる親が、家の改装をするから、自分の部屋を片付けるようにと連絡があった。
捨てるものは捨てて必要なものは東京に持って帰るように言われた。
色々な荷物があるので、二泊の予定で実家に帰った。
僕を育ててくれたおばあさんが買ってくれて、子供の頃に毎日夢中で遊んだ玩具を、意を決して山ほど捨てた。
実家は田舎の戸建て、二階建てで、部屋は余るほどあるのに、何処も偏執的な母親のゴミのような荷物で溢れかえっていた。
正直な話、僕の思い出を取っておく部屋が一部屋あっても、実際的には何も困りはしないだろうに。
夕飯を食べている時、
「どうせ片してもあんたのゴミ置場になるだけでしょ」
と僕は母親に嫌味を言った。
母親は無邪気に、
「そんなことないわよ、ただあなたの部屋はもう失くなるわよ」
と言った。
母親は僕が意を決して捨てることにした物の中から、僕にとってはどうでもいいものを拾い上げて、それもまた取っておくようであった。
それを取っておくくらいなら、もっと取っておきたい物が僕にはあるのにな、と僕はとても悔しかった。
母が死んだら、母の持ち物はひとつ残らず捨てようと思っている。