F-1のシンガポールグランプリでは、会場内で音楽フェスのようなものが行われていて、F-1のチケットでそれらを楽しむことが出来る。
17日のフリー走行後はカイリー・ミノーグだった。
そして18日の予選後は、なんとQUEENだった。
僕たちは会場の横の方から、前に前にと進んでいって、最終的には結構前で観ることが出来た。
コンサートの内容は、彼らが今行っているツアーのフルセットで、実にたっぷりとした内容のショーだった。
僕は熱狂した。
僕は、ブライアン・メイのレッドスペシャルの音を聴きながら、QUEENがとても好きで、でも死ぬことばかり考えていた高校生の自分に、
「二十年後には本物のQUEENを最高の仲間たちとシンガポールで観ること出来るんだよ」
と教えてあげたくて仕方がなくなった。
もしそのことを知っていたなら、高校生の僕は人生に希望を持つことが出来ただろう。
当時の僕には、自分にそんな未来が待っているだなんて、思ってもみなかった。
そして、
「二十年後の、55歳の僕も、今の35歳の僕に色々なことが起こることを教えてあげたいと思うかも知れないな」
と思った。
僕はきっと、今の自分や未来に、絶望するべきではないのだろうし、絶望する必要もないのだろう。
感動の中でそう感じた。