Poko's Blog

無垢であること、生き延びること

2015年7月18日

なんて繊細な体だろう


僕の家のベランダには、一昨年の秋に買った山椒があって、結構な大きさになって来た。

今年はいきなりアゲハチョウの幼虫が九匹もついた。

「葉っぱが足りるかなぁ」
とかぐんぐん大きくなる幼虫達を毎日観察し、彼らの食料たる山椒の葉っぱの量などを心配していたら、ある朝、彼らが鳩の食料になってしまった。

わざとらしいほどの沢山の鳩の足跡があり、幼虫の姿は一匹も見えなくなっていた。


僕は虫は苦手だけれど、アゲハやクロアゲハ、アオスジアゲハの幼虫は大好きだ。

アゲハの幼虫の素晴らしい鮮やかさ、クロアゲハの幼虫の半透明のお腹の神秘、アオスジアゲハの幼虫の斬新なフォルム。

彼らの体は限り無く弱々しく繊細な印象で、だからこそ今を生き残っている幼虫は、荒々しさと事故や事件とは無縁であったこと、すなわちな全くの無垢である印象がある。

幼虫である間の彼らは、一度も木から降りたこともなく、新鮮で清潔な葉のみを食べているわけで、そのゼリーのような体は全く清潔に感じられる。


土の中で腐った葉っぱを食べているカブトムシの幼虫の、あのおぞましさとは対極にあると思う。


ああ、僕の心も、アゲハチョウの幼虫のようでありたいものだ。
そしてそんな心のままで生き延びて、いつか羽化して蝶になりたいと僕は思う。